物理学界をゆるがすとんでもないニュースが飛び込んできました。なんと、ナゾの素粒子とされてきたニュートリノが、光の速度よりも速く飛ぶことができるというのです!!
この驚くべき報告を行ったのは、スイス・ジュネーブにある欧州合同原子核研究機関(CERN)の実験グループで、日本の大学のメンバーもこれに参加しているということです。
実験グループによれば、CERNの加速器でニュートリノを打ち出し、イタリアまで730キロメートルの距離の移動にかかる時間を計測した結果、光の速度より0・0025%速く飛んだことがわかったそうです。
もし、この観測結果が事実ならば、相対性理論の基礎となっている「光の速度が宇宙で最も速い」という前提がくずれ、物理の世界を根底からゆるがす事態になることでしょう。
光より速く飛ぶということは、過去に向かって走ることができるということを意味します。
たとえば、東京を正午12時に出発する新幹線が、新大阪に午後2時30分に着くとします。これは現在の技術で可能なごく普通の移動の仕方ですが、もしこの新幹線を好きなだけスピードアップすることができるとすれば、当然到着時刻は早くなっていきます。ロケットなみのスピードになれば、12時に出発して、12時1分に着くことも可能でしょう。
そして、仮に光のスピードになれば、12時に出発した新幹線が新大阪に着く時刻は、同じ12時ぴったり。つまりノータイムで新大阪に着くことになります。(ただし、ノータイムなのは新幹線に乗っている乗客にとって、ということであり、外から見ている人にとってはごくわずかながら時間がかかります)
そして、さらに光のスピードを超えれば、12時に出発した新幹線が新大阪に着く時刻は11時50分!ということも可能になります。所要時間がマイナスになり、つまり時間をさかのぼることになるのです!
時は過ぎゆく一方。人生は短く、あれよという間に歳をとる一方…となげく必要はなくなるかもしれません。「ひかり」より速い列車を「のぞみ」と名付けたのは、JRの先見の明でしょうか。
しかし実際は、残念ながらたとえニュートリノが超光速粒子であったとしても、それを利用して人間が過去にさかのぼることは、まず当分は(..?)不可能でしょう。
ただ、なんらかの形でニュートリノの運動を利用して、過去の情報を取り出すことができる日が来るかもしれません。深海に探査船をもぐらせて知られざる海中の情報を探すように、時間の海の中を遡らせて、深淵に隠れた歴史の真実を引き揚げ、白日のもとでそれをじっくりと眺めるときが来るかもしれません。そうしたことを想像するだけでなんだか楽しくなってきますね。
(残念ながらこの実験については、後日測定装置などの不備が発覚し、ニュートリノのスピードが光より速いという観測結果は誤りだったことがわかりました。相対論の研究者たちは一様に胸をなでおろしたことでしょう。歴史の真実はそう簡単には明かされないということでしょうかね)